『千と千尋の神隠し』の電車の謎を考察!駅や電車の名前、黒い影の女の子の正体は?

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    宮崎駿監督の長編アニメーション映画『千と千尋の神隠し』の中盤、銭婆の大切なものを盗んだハクの代わりに千尋たちが銭婆に謝罪するため、電車(海原電鉄)に乗って旅に出るシーンがあります。路面は水に覆われていて、物静かな雰囲気が奇妙ながらも幻想的で印象に残っている人も多いのではないでしょうか。この記事では、『千と千尋の神隠し』に登場する電車について深掘りしていきます。

    こんにちは、Reneです。

    アカデミー賞で長編アニメーション映画賞を受賞し、約20年間もの間、日本の興行収入1位に君臨し続けていた『千と千尋の神隠し』。

    スタジオジブリ映画の中でも特に独創的な世界観が広がっている映画です。

    宮崎駿監督は不思議なキャラクターや設定をたくさん盛り込むものの、あえてそのことについて本編で語ることはありません。

    この記事では、『千と千尋の神隠し』のそんな不思議な設定の中でも、「電車」に焦点をあてて深掘りしながら、作品への理解を深めていきたいと思います。

    千と千尋の神隠しの電車の名前は「海原電鉄」

    ハクを助けようとする千尋
    出典:公式サイト
    ハクを助けようとする千尋

    『千と千尋の神隠し』で電車が登場するのは、物語の中盤。

    千尋が神様の集う街へやってきて、両親をぶたに変えられてしまった時からずっと助けてくれていたハクに命の危機が迫ります。

    湯婆婆の命令で銭婆のハンコを盗むのですが、すぐに銭婆に悪事がバレてしまい、瀕死まで追い込まれるほどの重傷を追ってしまうのです。

    千尋が助けたおかげでどうにか大事に至ることはありませんでしたが、ことの事情を知った千尋は、ハクの代わりに銭婆のところへ行き、直接謝ることを決意。

    その銭婆のところまで行く手段というのが、今回着目する「海原電鉄」という電車なんです。

    千尋がかま爺から聞いたところによると、海原電鉄はかつては帰り便があったものの今は一方通行であり、降りる駅を間違えると大変なことになるとのこと。

    そして、「6番目の駅で降りろ」としつこくちひろに言い聞かせるかま爺。

    千尋はかま爺の言葉に頷き、ハクのため、危険が伴う海原電鉄に乗り、銭婆の家を目指すのでした。

    千と千尋の神隠しの電車:海原電鉄の7つの駅

    海原電鉄には、7つの駅が存在します。

    「降りる駅を間違えると大変なことになる」と言われるほど恐ろしい駅のある海原電鉄の駅とは、一体どのような駅なのでしょうか?

    ①復楽駅

    映画冒頭、千尋は、橋の上から電車が走っている光景を眺めています。

    はっきりとした駅名は分かっていませんが、千尋が電車を眺めるすぐそばには、「復楽」と書かれた時計台があり、時計台の内部が駅舎のようになっているので地下に路面が続いていることが想定されます。

    ②湯屋「油屋」の駅

    千尋たちが銭婆の家に行く際に、電車に乗った駅です。

    こちらも駅名ははっきりとしていませんが、何かしらの理由があって油屋の人たちが乗車する可能性は高く、油屋の前にも駅が存在するようです。

    ③南泉駅

    本編で直接登場することはありませんでしたが、沼原駅の1つ手前の駅として表示されていました。

    ④沼原駅

    黒い影のような人々が一斉に下車した駅です。

    千尋たちがくっきりと映っているのに対して、黒い影になった人たちは実在しないような空気感を醸し出しているため、「死者ではないか」「魂なのではないか」などさまざまな憶測が飛び交っています。

    もしも、黒い影のような人々が人生を終えた人たちであるとすれば、沼原駅は、死後の世界へと向かう駅になるということです。

    さらに、かま爺がち千尋に対して「降りる駅を間違えたらだめだ」と忠告した言葉を思い返すと、千尋が周りの人たちに紛れて降りてしまったら、戻って来られないのかもしれません。

    ⑤北沼駅

    本編で直接登場することはありませんでしたが、沼原駅の1つ先の駅として表示されていました。

    ⑥沼の底駅

    銭婆の家の最寄駅。
    あたり一面は沼地で覆われていて、木々が伸び、静けさが広がっています。

    ⑦中道駅

    海原電鉄の終着駅。

    海原電鉄の列車の先頭には「中道」と書かれていて、最終的な行き先が「中道」であることが想定されます。

    千と千尋の神隠しの電車:千尋の行き先「6番目の駅」

    千尋とカオナシ
    出典:公式サイト
    千尋とカオナシ

    かま爺は、海原電鉄に乗車することになった千尋に対して、何度も「6番目の駅で降りるように」と伝えました。

    実際、千尋たちが乗った海原電鉄は「沼」のつく駅が多く、銭婆の家の最寄である「沼の底駅」と教えてしまうと、「沼原」「北沼」など間違った駅で降りてしまう可能性もあるので、かま爺はナイスです。

    一方で、かま爺の話す「6番目」には、「六道輪廻」の思想が関係していると推測できます。

    「六道輪廻」とは、仏教にある言葉で、

    天道:人間が暮らす世界の苦しみがなく楽な世界
    人間道:生老病死からくる苦しみに耐える人間の世界
    修羅道:怒り・欲望による戦いを繰り返す世界
    畜生道:自分だけでも助かろうとする弱肉強食で成り立つ世界
    餓鬼道:嫉妬・妬みなどの欲望で塗れた世界
    地獄道:最も苦しい世界

    を永遠と繰り返すことによって魂は生き続け、最終的には煩悩・欲望を捨てない限り、このサイクルから抜け出せないという考え方です。

    もしも、六道を外れてしまうと「外道」と呼ばれる場所で永遠に彷徨うことになり、悟りを開くことすらできなくなってしまいます。

    銭婆の家の最寄駅「沼の底駅」は名前が不気味で、六道輪廻の中でも6番目の「地獄道」と通ずるものがあります。

    千尋は、さまざまな試練を乗り越えた中で、唯一の救いとなったハクを助けるために海原電鉄へと乗り込みますが、「地獄道(最も苦しい世界)=ハクのいない世界」だったのかもしれませんね。

    ハクの命を奪うかもしれない銭婆は、地獄で生きる閻魔様のような存在。

    千尋は、千尋にとっての地獄を支配する閻魔様に会いに行くと考察すると、全てが合致します。

    千と千尋の神隠しの電車:「中道」とは?

    海原鉄道には、行き先が「中道」と書かれていて、どうやら中道に向かって電車が進み続けていることは明白です。

    しかし、この「中道」とはどのような場所なのでしょうか。

    中道という言葉は、仏教の教えの中に登場していて「両極端な思想や一つの概念に固執する生き方ではなく、自由に考えて生きること」を意味します。

    多くの人は、黒い影の乗客たちがすでに死んでいると推測し、海原電鉄に乗るのは死者の世界へ向かうためだと噂していました。

    この噂を「中道」という言葉に照らし合わせて見ると、生前の思想や概念から解放され、死を通して真の意味での自由を手に入れられる世界が待っていることになります。

    しかし、千尋以外の黒い影になった乗客たちは、揃いも揃って中道へは行くことなく、途中の「沼原駅」で下車してしまいました。

    先程の六道輪廻の考えを踏まえてみると、煩悩や欲望を捨て切る悟りを開かない限り、このサイクルから抜け出すことはできないのです。

    つまり、途中下車した人たちは、再び六道輪廻を繰り返しているのでしょう。

    この輪廻を繰り返す中で、真理に辿り着けた時、初めて「沼原」の駅で下車することなく、「中道」の最終着地駅まで辿り着くことができるのかもしれません。

    千と千尋の神隠しの電車:黒い影の女の子は誰?

    千尋たちが乗車した電車には老若男女を思わせる黒い影の人々が乗り合わせていました。

    それぞれ表情が良くわかりませんが、どこかぐったりとしている様子で活力を感じることはできませんでした。

    黒い影の人々の中でも、特に注目されているのが「少女」の存在です。

    小さな女の子が黒い影の人々の中に紛れ込んでいていったい誰なのかという議論が、ファンの間で交わされています。

    多くの考察の中で有力視されているのが、高畑勲監督が手がけた『火垂るの墓』に登場する主人公「清太」の妹「節子」ではないかという噂。

    確かにおかっぱの髪の毛は似ていますが、節子が亡くなったのは4歳のため、4歳にしては黒い影の女の子は大きすぎるので節子と断言するのは難しいでしょう。

    しかし、黒い影の人々が何かしらの理由で成仏できずに彷徨っているとすれば、当時4歳だった節子が成仏できずに成長して大きくなったのではないかとも、推測できますね。

    千と千尋の神隠しの電車:なぜ片道しかない?

    千尋を追いかけるカオナシ
    出典:公式サイト
    千尋を追いかけるカオナシ

    かま爺が持っていた電車の切符は40年以上前の使い残しのため、海原電鉄は少なくとも40年以上は運行していることになります。

    ただ、人間にとって40年は長い歳月ですが、人間よりはるか昔から存在するとされる「神様」たちにとって40年という歳月はそこまで長いものではないでしょう。

    かま爺は「昔は戻りの電車があったが、近頃は行きっぱなしだ」と話します。

    そこで、近年の現代人と死者との向き合い方について振り返ってみましょう。

    かつて昔は、多くの人たちがお盆やお墓参りのたびに、先祖の魂を思い、会いに行っていました。

    生きている人たちが先祖の魂を迎え入れることによって、亡くなった人たちも現世へと一時的に戻ることができていたのです。

    つまり、魂を呼び戻す人たちがいたかつて昔は、海原電鉄の戻りの電車も動いていたということなのではないでしょうか。

    しかし、時代の流れとともに、先祖への思いが薄れつつある現代において、亡くなった人たちの魂を呼び戻す人たちは徐々に減ってしまった結果、魂は向こうへ行ったきり、こちらに戻ってくることはできなくなってしまったということです。

    人は「肉体が滅びた時」「生きている人たちから忘れられた時」の2度の死を遂げると言われます。

    生きている人たちから忘れ去られてしまっては、戻りの電車に乗ったところで寂しいだけですよね。

    まとめ

    この記事では、『千と千尋の神隠し』に登場する電車「海原電鉄」について解説しました。

    海の上を走る電車は幻想的ですが、この何気ない綺麗なシーンにも宮崎駿監督なりのこだわりが多く詰め込まれていることがわかりました。

    宮崎駿監督が本編中で、この電車について言及することはありませんでしたが、ぜひこういった考察を知った上で、再度『千と千尋の神隠し』をご視聴ください。

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