『千と千尋の神隠し』に登場する神様一覧！モチーフになった神話、大根やひよこの神様を紹介！

こんにちは、Reneです。

両親を豚に変えられてしまった少女・千尋が主人公の『千と千尋の神隠し』には、多種多様な見た目をした神様が登場しています。

『千と千尋の神隠し』が世界中で高く評価された理由の1つには、神様の高いキャラクター性があると言えるでしょう。

本編では、はっきりと神様たちの紹介がされたり、名前が呼ばれたりすることはありません。

しかし、実は、名前がついていたり、モチーフになった神話のキャラクターがいたりするんですよ。

それでは、『千と千尋の神隠し』に登場する神様キャラクターについて詳しくみていきましょう。

『千と千尋の神隠し』：あらすじ

出典：公式サイト

ハクの作ったおにぎりを食べる千尋

父親の転勤を理由に、都会から田舎へと引っ越すことになった少女・千尋。

クラスの友達から花束と手紙をもらい、別れを惜しみながら、新しい家に向かう車に揺られていました。

その道中、千尋たちが乗った車は、道に迷い、トンネルのある行き止まりへとたどり着きます。

嫌な予感がする千尋の警告を無視して、車を降り、トンネルを抜けようとする千尋の両親。

千尋は仕方がなくついていくのですが、トンネルの先には、人の気配のない不思議な街が広がっていたのです。

屋台の匂いに釣られて店主のいない店の食べ物を食べ出す両親に呆れた千尋は、1人で街を探索するのですが、そこで人間の少年・ハクと出会い、ここにいてはいけないと怒られます。

千尋が困惑しながら両親の元へ戻ると、両親は豚の姿へと変わり果てていて…。

『千と千尋の神隠し』：神様のモチーフ

『千と千尋の神隠し』には、たくさんの神様のキャラクターが登場します。

過去のどの作品にも似つかない個性を持った神様のキャラクターたちは、「古事記」や「日本書紀」などの日本の神話を綴った書籍から影響を受けて制作されたそうです。

『千と千尋の神隠し』に限らず、宮﨑駿監督は書籍や漫画、歴史から多大な影響を受けて映画を制作しています。

その奇想天外な発想の根源を辿ると、神話などの実在するストーリーと深いつながりがあることがあるんですよ。

◆神様がたくさん登場する設定の背景

キリスト教など多くの宗教では神様は1人とされているのですが、日本の古来から伝わる神話では、自然ごとに異なる神様がいるなど、神と呼ばれる存在がたくさんいます。

日本は昔、天候に大きく左右されやすい稲作を生業としていたため、自然を神として考え、自分達の生活に大きな影響を与える存在として身近に感じるようにしていました。

実際、自然だけではなく、米粒1つにも神様がいるから残してはいけないという考え方まであるほどです。

宮﨑駿監督は、そんな日本古来の神様の捉え方を「八百万の神々が集う湯屋」を舞台にして、描いたのです。

◆イザナミ・イザナギ神話と『千と千尋の神隠し』の関係

日本の神話では、国を作った神様として、夫婦である神様のイザナギとイザナミが崇められています。

実は、国づくりの最中、イザナミが命を落としてしまうのですが、イザナギは、もう1度この世にイザナミを連れ戻そうと、あの世まで追いかけていきます。

しかし、「あの世の食べ物を食べてしまったため戻ることができない」「姿が変わっているから私をみないで」とイザナギを突き返すのです。

イザナミの警告を無視したイザナギが覗き込むと、腐敗した姿のイザナミがいて、恐怖を感じたイザナギは立ち去り、決別してしまうというストーリーがあります。

●千尋の両親が勝手に食べ物を食べて豚になった点（食べ物によって姿が変わる）
●消えかけている千尋の体がハクからもらった食べ物で元に戻る（異世界の食べ物を食べることでつながりが生まれる）
●帰りに振り返ってはいけないという約束を守る（掟を破ると不幸になる）

このように、「イザナミとイザナギの神話」と『千と千尋の神隠し』の話には共通点があるのです。

『千と千尋の神隠し』の神様①：春日様

出典：公式サイト

春日様

『千と千尋の神隠し』の物語冒頭で豚になった両親に驚いた千尋が出会う、下半身が透明な人形の神様は、「春日様」と言います。

神道の神として春日神社で崇められる春日神は、舞楽で使用されるお面の一種である「蔵面」と呼ばれるお札のようなデザインが印象的です。

豚の中に両親がいないことを当てた千尋を、おしら様々と一緒に扇子を振りながら讃えていました。

『千と千尋の神隠し』の神様②：おしら様

髭ような位置に大根のような形をした突起を2つ生やしていて、千尋を湯婆婆のいるところまで送り届ける神様は、おしら様と言います。

千尋が人間であることがバレてしまうのではないかとハラハラした人も多いかと思いますが、言葉を発することがなくても千尋を守っているような行動をしていました。

見た目が大根のようなのは、おしら様が養蚕、農業、馬の守り神として崇められているからです。

主に東北地方で信仰されている神様ですが、茨城県や静岡県にもおしら様を祀る神社があるなど、全国的に大切にされてきたようです。

また、子どもが大好きという説があり、千尋を湯婆婆のところまで無事に送り届けたのも、幼い少女を守ってあげようという優しい気持ちがあったのかもしれません。

『千と千尋の神隠し』の神様③：オオトリ様

出典：公式サイト

オオトリさま

「神様が集う湯屋にひよこがいる！」と驚いた方もいるかもしれませんが、ひよこたちは、「オオトリサマ」と呼ばれる立派な神様です。

神社などで崇められているという話はないのですが、卵から孵ることができずに死んでしまったり、鶏になることができなかったひよこたちが神様になったと言われています。

みんなでひとつのお風呂をシェアしていていたり、頭にタオルを載せていたり、かわいらしい存在です。

『千と千尋の神隠し』の神様④：おなま様

千尋が息を止めて橋を渡る場面で登場する包丁を片手に蓑を纏ったキャラクターは、「おなま様」と言います。

秋田のナマハゲがモチーフになったおなま様は、恐ろしい見た目と包丁を持って、家の厄災を払ったり、豊作・豊漁をもたらすと言われています。

『千と千尋の神隠し』の神様⑤：おむすびさま

リンからお湯のふだをもらってくるように頼まれた千尋が、番台カエルから札を受け取れずにいるときに、横から現れ、番台カエルから札を受け取る女性が「おむすびさま」です。

縁結びの神であるおむすびさまは、恋愛に限らず、人間関係全般の繋がりを与えてくれます。

紫の浴衣が素敵で、一瞬しか登場しないのですが、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。

『千と千尋の神隠し』の神様⑥：オクサレ様

湯屋に突然やってきて、従業員たちを困惑させたドロドロで悪臭を放つのが、オクサレ様です。

初めは迷惑な客として湯婆婆から厄介者扱いされるのですが、実は河の主であり、人間たちが捨てたゴミを体に溜め込んでしまっていたために、腐れ神になっていました。

誰もが接待を嫌がる中、千尋は真摯に向き合い、オクサレ様に引っ掛かっているゴミを取り除いてあげることで、真の姿を見せるのでした。

河の主（神様）として、人間の愚業すらも抱え込むオクサレ様は、現代社会の問題を浮き彫りにしているかのようです。

『千と千尋の神隠し』の神様⑦：ニギハヤミコハクヌシ

出典：公式サイト

ニギハヤミコハクヌシ

千尋を助けるハクの正体は、白い竜の姿をしているコハク川の河の主。

千尋が「千」と名付けられたのと同様に、ハクも本当の名前を奪われてしまうのですが、そのまま名前を忘れてしまい、自分が何者なのかを思い出せずにいました。

実は、千尋が幼い頃、コハク川に落ちたことがあり、それをハクが助けていたのですが、そのことを思い出した千尋によって、ハクは、自分の名前がニギハヤミコハクヌシであることを思い出します。

・【キャラ解説】『千と千尋の神隠し』のハクに迫る！魔法で川を復活させたかった？その後や千尋との関係は？

『千と千尋の神隠し』の神様⑧：牛鬼

鹿のようなツノを生やした鬼で、西日本に伝わる妖怪がモデルとなった牛鬼。

ぎょろっとした目玉が印象的で、湯屋の浴衣を着ているのが可愛らしいです。

『千と千尋の神隠し』の神様⑨：一言主

一言の願いであれば、なんでも聞いてくれる神様。

オクサレ様が湯屋へやってきた際に、避難する神様に混ざっています。

まとめ

今回は、『千と千尋の神隠し』に登場する神様について深掘りして紹介しました。

奇想天外なキャラクターたちが活躍するジブリ映画の中でも群を抜いて独創性の長けている『千と千尋の神隠し』は、神話などをモチーフにキャラクター設定されていることが分かります。

ぜひ、『千と千尋の神隠し』を鑑賞する際は、神様たちに注目してみてください。

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