【ジブリ映画】『コクリコ坂から』を徹底解説!あらすじ、主要キャラと声優、原作、トリビア、都市伝説など
ジブリ映画『コクリコ坂から』を徹底解説!あらすじ、主要キャラと声優、トリビア、公開年、興行収入、トリビアについてご紹介します。高度経済成長期真っ只中の横浜を舞台に、高校のクラブサークル”カルチェラタン”取り壊し反対運動で出会った男女の恋模様を描いた青春物語。宮崎駿が企画、脚本に携わり、宮崎吾朗が監督を務めた本作について、多角的に読み解いていきます!
こんにちは、Reneです。
今回は、ジブリ映画『コクリコ坂から』を丸ごと徹底解説します!
『ゲド戦記』や『アーヤと魔女』を手掛けたスタジオジブリを代表する映画監督でもあり、宮崎駿の長男でもある宮崎吾朗が監督を務めている『コクリコ坂から』。
懐かしさを感じられる横浜の街並みが特徴的ですが、建物や反対運動からは意外と深いメッセージ性が隠されていたりします。
あらすじはもちろん、キャラクターや声優、原作、トリビアなど様々なトピックから『コクリコ坂から』を読み解いていきましょう!
コクリコ坂から:作品概要
ジブリ映画『コクリコ坂から』は、2011年7月16日公開の映画です。
少女向け漫画雑誌「なかよし」で連載されていた佐山哲郎、高橋千鶴の漫画『コクリコ坂から』を原案に宮崎駿が企画・脚本を担当しました。
「上を向いて歩こう」をキャッチコピーに、宮崎駿の長男である宮崎吾朗が監督を務めました。
宮崎吾朗氏にとって本作は『ゲド戦記』に続く長編アニメーション監督2作目となります。
◆興行成績と受賞歴
『コクリコ坂から』はスタジオジブリ作品として高い注目度を集め、2011年度の年間興行収入邦画ランキング1位を記録します。
興行収入は44.6億円です(松竹・東宝・東映・角川の合同団体である日本映画製作者連盟の発表による)。
海外では、翌年2012年にフランスで公開され、初日の動員数がフランス国内2位を記録。
海外での注目度の高さも伺えますね。
日本の映画賞では以下のような賞を受賞しています。
◆テレビ放送履歴
劇場上映から、3回のテレビ放送がありました。
全てが「金曜ロードSHOW!」での放送となっています。
コクリコ坂から:あらすじ
では『コクリコ坂から』のあらすじをご紹介します。
後半は物語のエンディングに関するネタバレがありますので、未見の方はご注意くださいね!
反対運動の中、出会った俊と海
主人公・松崎海は、丘の上にポツンと建ち、海が一望できるコクリコ荘で暮らす港南学園2年生。
海の朝の日課は、亡くなった父を想い、海を渡る人に向けて「航海の安全を祈る」を意味する旗を掲げることでした。
一方、毎朝父の運転するタグボートで通学する港南学園3年の風間俊は、海の掲げた旗を眺め「ありがとう」を意味する回答旗を掲げていました。
しかし、このとき海は、この回答旗の存在を知りませんでした。
ある日、海が通学すると、クラスメイトから新聞部の発行する「週刊カルチェラタン」を見せられます。
そこには、「女よ、なぜ君は旗をあげるのか」と海についての詩が掲載されており、海は目を丸くして驚きます。
その日の昼休み、騒がしい中庭の様子を見に行った海たちは、南港高校のクラブサークル「カルチェラタン」の取り壊しを反対する運動のパフォーマンスとして、ひとりの男子生徒がカルチェラタンの屋根から防火水の溜まり場に飛び込む現場を目撃します。
海は、男子生徒の安否を心配し、一目散に駆け寄り助けの手を差し伸べます。
実はこの男子生徒は、毎朝海の旗に回答し、週刊カルチェラタンに海についての詩を掲載した風間俊だったのです。
2人を囲う野次馬たち、2人が手を握り合う瞬間を連写する写真部たち、騒然とした中、海と俊は出会うこととなります。
縮まる距離と、俊の出生の秘密
俊の飛び込みパフォーマンスは学校全体で大反響。
海の妹で高校1年生の空は、写真部の販売している俊が飛び込む瞬間を写した写真を30円で買っていたほどでした。
空は、写真に俊からサインをもらおうと海を連れてカルチェラタンにある新聞部へ訪れます。
そこで海は、飛び込みの際に怪我を負った俊と再会し、週刊カルチェラタンの代筆を頼まれます。
放課後、俊の手伝いをしていて帰りが遅くなった海は、夕食のカレー作りに必要な肉を買いに商店街へ向かうと、一足遅れて自転車で帰宅する俊と鉢合わせ、商店街までを自転車に乗せてもらうことに。
それから数日後、コクリコ荘に下宿するひとりが晴れて独り立ちすることになり、俊や俊の友達も招いて盛大に送別会が開かれました。
コクリコ荘を訪れた俊に、海は家の中を案内します。
古い建物でありながらも、歴史が詰まって、きれいに使われているコクリコ荘に感激する俊ですが、海が見せてきた1枚の写真を見て、言葉を失います。
その写真には、海の父である澤村雄一郎、立花洋、小野寺善雄の3人が写っていたのですが、全く同じ写真を俊も持っていたからです。
俊は帰宅してから、父親に自分の出生について聞き出します。
父から語られたのは、俊の両親は第一子を産後すぐに亡くしてしまったこと、悲しみに暮れているところに親友である澤村が赤ん坊であった俊を連れてきたこと、亡くなってしまった子の代わりに俊を育てることに決めたということでした。
両親と血縁関係がないことを知った上に、海が自分の生き別れの妹であることを知った俊は、ふさぎこんでしまいます。
カルチェラタンの存続と2人の恋模様
学内で次第に高まるカルチェラタン取り壊し問題の関心。
そんな中、海は、カルチェラタンがあまりにも汚れていることを問題視し、まずは建物全体を大掃除し、カルチェラタンを磨き直すべきだと提案します。
男子生徒の溜まり場であったカルチェラタンに、女子生徒たちはたくさんの掃除用具を持って押しかけては、せっせと掃除を開始します。
初めは、困惑しながら女子生徒たちを眺めていた男子生徒たちも、一緒に協力し学校全体で大掃除が始まります。
一方、先頭に立って反対運動をしていた俊は、海の提案を受け入れるものの、あからさまに海との会話を避けるようになってしまいます。
避けられていることを感じた海は、俊に何かあるならはっきり言って欲しいと話します。
俊は、自分たちが実の兄弟関係にあたることを話し、切なげに「まるで安っぽいメロドラマだ」と吐き捨て、海を驚かせます。
数日後、無事に大掃除を終えて、見違えるほどにきれいに生まれ変わったカルチェラタンでしたが、俊のもとに、カルチェラタン取り壊しが夏休み中に執行される話が舞い込んで来ます。
俊は、海と生徒会長である水沼とともに、取り壊しを計画している張本人である理事長に取り壊し撤廃を直談判しに東京まで出向くことを決心します。
そこで、理事長は、海の父親が朝鮮戦争で亡くなっていることを知り、海の両親の苦労を汲み取り、カルチェラタンを見学しに行く約束を交わします。
その帰り道、海は、父を想って毎日旗をあげていたから、父が俊を自分のところに連れてきてくれたと思うことにしたと話し、2人は互いに好意を持っていることを打ち明け合います。
真相、そしてカルチェラタンの存続決定
コクリコ荘に戻ると、海はアメリカから帰国したばかりの母と久しぶりに再会します。
その晩、俊について尋ねると、俊の本当の父親は、海の父である澤村雄一郎ではなく、写真に一緒に写っていた3人のうちの1人・立花洋であることを聞かされます。
立花が事故で亡くなってしまった当時、このままでは1人残された俊が孤児院行きになってしまうため、それを避けるため、澤村が子どもを亡くしたばかりであった風間夫婦のところへ連れて行ったとのことでした。
翌朝、約束通りカルチェラタンの見学のため、港南高校を訪れた理事長は、大掃除のおかげできれいになったカルチェラタンに感動し、取り壊しの撤廃を宣言します。
それから、海と俊は、写真に写っていた小野寺善雄に会いにいきます。
小野寺は、事故があったとき、海に出ていたが、もし自分がそばにいれば澤村と同じことをしたに違いないと話し、俊の父親は間違いなく立花洋だと断言しました。
それから、かつての親友である澤村と立花の子どもたちに会えたことを喜び、固い握手を交わして、笑顔で別れます。
その帰り道、海と俊はタグボートに乗り、綺麗な夕焼けに照らされたコクリコ荘を眺めて物語は幕を閉じます。
コクリコ坂から:主要キャラクターと声優
続いて主要キャラクターと声優をご紹介します。
有名芸能人が多数出演していますよ!
◆松崎海(声優:長澤まさみ)
高い位置で結いた三つ編みがトレードマークの主人公、港南高校2年生。
丘の上に建つ下宿屋・コクリコ荘で家事全般をこなしながら、父を想いながら毎朝、海に向かって旗を掲げます。
ニックネームである「メル」は、フランス語で海を意味する「ラ・メール」が由来しています。
◆風間俊(声優:岡田准一)
港南高校3年生。
新聞部が発行する「週刊カルチェラタン」の編集長を務めながら、文化棟であるカルチェラタンの取り壊しを反対する学生運動に力を入れています。
◆水沼史郎(声優:風間俊介)
港南高校3年で生徒会長を務めます。
カルチェラタン取り壊しには反対の姿勢を示すものの、生徒会長である立場からあまり大きな動きは見せずに状況を見守ることが多いです。
俊とは特に親しい関係にあります。
◆徳丸理事長(声優:香川照之)
カルチェラタン取り壊しを取り仕切る港南高校の理事長。
学生たちの熱意を知り、直接見学に足を運んだり、生徒たちの境遇などの話を親身に聞く姿勢を持っている人格者です。
▼その他の声優やキャスティング裏話はこちらで!
・【ジブリ映画】『コクリコ坂から』声優まとめ!『ゲド戦記』や『千と千尋』にも登場したあの人が出演!
コクリコ坂から:原作情報
『コクリコ坂から』は、1980年1月から8月まで少女向けコミック雑誌「なかよし」で連載されていました。
原作者は、佐山哲郎。作画は、高橋千鶴です。
親戚が読んでいたコミック雑誌を宮崎駿が眺めているときに発見し、この物語を映画化することはできるかという議論をクリエーター間で議論を交わしたことがきっかけに映画化の話が始まります。
その後、新人映画監督の育成プロジェクトの一環で宮崎駿の長男・宮崎吾朗が監督に抜擢され制作が開始されることとなりました。
◆原作と映画版の違い
企画、脚本には、宮崎駿が携わっており、原作と映画ではストーリーラインに大きな違いがあるのも特徴です。
例えば、映画版では一番のメインである「カルチェラタン」は原作漫画で一切登場しません。
港南高校で学生運動が起こりますが、賭け麻雀で負けた俊たちが担保にしていた生徒手帳を取り返そうとするのがきっかけで、原作漫画の方が学生運動の理由が不純なことがわかります。
また、原作漫画では高校を卒業した俊が商船大学へと進学し、海は残りの高校生活を俊と離れて送ることとなりますが、「みんなにからかわれるくらいニコニコしていたよう、風間さんのそばにいるとそうなってしまうのです」と記されて終わるため、2人の恋愛が順調に進んでいることが伺えます。
コクリコ坂から:【ネタバレあり】トリビア
最後に本作にまつわるちょっとしたトリビアをご紹介します。
トリビアを知ってから映画を改めて観ると、新たな発見があるかもしれません。
◆息子の作品に厳しい父の目にも涙?
息子・宮崎吾朗氏の作品に対して手厳しい評価を下すことで知られる宮崎駿氏。
しかし『コクリコ坂から』では、企画・原案を担当した宮崎駿氏の描いたシナリオにはなかった”あるシーン”が彼の涙を誘ったといいます。
それは、海と俊が持っていた澤村、立花、小野寺が写った1枚の写真が撮影された場面です。
当時、戦争真っ只中の日本で、男性たちは常に死と隣り合わせの状況にありました。
そのため、人々は写真を撮る時も笑顔を見せたり、肩を組み合ったり、ピースをしたりするようなことはありません。
3人はぎゅっと口を閉じ、真っ直ぐ目線をカメラに向けています。
この場面は、プロデューサーである鈴木敏夫の家族写真を参考にしているとのことです。
戦時中、いつ死ぬかわからない、親を亡くした子どもを我が子として育てる、そんなことが当たり前だった時代が日本にあったこと、様々なことが寛容だった時代の青春を切り取ったワンシーン。
涙を見せた宮崎駿氏の目には、どう写っていたのでしょうか。
◆カルチェラタンのモデルは、日本初の私立女子校?
映画に登場する建物「カルチェラタン」のデザイン設計をしたのは、企画に携わっていた宮崎駿氏です。
もともとストーリー設定として、「カルチェラタンは、明治自体に建てられた清涼荘という寄宿舎だった」というものがあります。
そのモデルとして有力なのが、日本人による初めての私立女子校として1975年(明治8年)に誕生した跡見学園です。
時代の流れとともに、男子生徒の集まる文化棟へと変わっていた建物ですが、海を中心とする港南高校女子生徒が率先して大掃除を始めたことで、理事長にカルチェラタンの魅力が伝わり、取り壊しが撤廃されます。
日本で初めて女性の教育のために建てられた建物を長い歳月を経て、女子生徒が守り抜くストーリーは感慨深いですね。
まとめ
宮崎吾朗による大人気アニメーション映画「コクリコ坂から」についての基本情報をご紹介しました。
知れば知るほど、新たな発見がある不朽の名作、ぜひ鑑賞してみてください!
キャステルの記事に テーマパークの最新情報をお届けします |