【ジブリ映画】『コクリコ坂から』のあらすじをネタバレ込みで紹介!作品の背景にある時代性とは?
2011年公開のジブリ映画『コクリコ坂から』のあらすじをネタバレありで解説します!宮崎吾朗監督が手掛けた長編アニメーション『コクリコ坂から』は、東京オリンピックを控えた横浜を舞台に、歴史ある文化建築カルチェラタンを守るため高校生たちが立ち上がる青春物語です。同時進行で進む2人の男女の恋愛にも注目。この記事では、『コクリコ坂から』のあらすじをトリビアと一緒にご紹介していきます。
こんにちは、Reneです。
今回は2011年公開・宮崎吾朗監督によるジブリ映画『コクリコ坂から』のあらすじをご紹介します。
長編アニメーション『コクリコ坂から』は、1960年代の横浜を舞台に、反体制の学生運動をする人々の生命力あふれる生き様を追いかけたストーリー。
同時に描かれる主人公たちの淡い恋模様や、制作に関するトリビアにも注目です。
なお、本記事には物語の結末に関するネタバレが含まれています。
まだ本編を視聴されていない方はお気をつけくださいね。
・コクリコ坂からのあらすじ:②距離を縮めるふたり
・コクリコ坂からのあらすじ:③俊の家族の秘密
・コクリコ坂からのあらすじ:④カルチェラタンの存続と2人の関係
・コクリコ坂からのあらすじ:⑤俊の本当の父親が判明
・コクリコ坂からのあらすじ:コクリコ荘とカルチェラタンの対比に注目
・コクリコ坂からのあらすじ:宮崎駿が語る戦争を経験した先祖への敬意
コクリコ坂からのあらすじ:①海と俊の出会い
舞台は港町・横浜。
主人公・松崎海は、海が一望できる下宿屋・コクリコ荘で暮らす港南学園2年生です。
海の日課は、下宿人の朝食作りをしてから、「航海の安全を祈る」を意味する信号機を海に向かって掲げることでした。
一方、タグボートで通学する港南学園3年の風間俊は、毎朝、海の掲げる信号機を眺め「ありがとう」を意味する回答旗を掲げていました。
ある日、海は学校へ着くと、友達から高校の新聞部が発行する「週刊カルチェラタン」に掲載された「女よ、なぜ君は旗をあげるのか」と掲載された詩を見せられ、自分のことが書かれていることに驚きます。
その日の昼休みのこと。
俊は、文化部室カルチェラタンの取り壊しに抗議するパフォーマンスとして、カルチェラタンの屋根から防火水の溜まりに飛び込みます。
衝動的に、海は俊に駆け寄り手を差し伸べます。
群がる野次馬と、ここぞとばかりにシャッターを押し続ける写真部たちに囲まれて、2人は出会うこととなったのです。
コクリコ坂からのあらすじ:②距離を縮めるふたり
俊の飛び込みパフォーマンスは、大きな反響を集め、海の妹・空は、30円で俊の飛び込む瞬間の写真を写真部から買っていました。
空は、俊の直筆サインが欲しいといい、海を連れて男子ばかりが群がる文化部のカルチェラタンへと足を運びます。
カルチェラタンの新聞部の部室へ行くと、海は編集者である俊から、右手を怪我してしまったため、原稿の助っ人を頼まれます。
原稿の手伝いですっかり帰るのが遅くなった海は、夕食にカレーを作ろうとしますが、肉が切れていることに気づき、商店街へ走ります。
その道中、帰宅中の俊とばったり鉢合わせ、自転車に乗せてもらい、買い物を済ませます。
二人の距離はぐんと近づき、より一層互いのことを意識するようになるのでした。
コクリコ坂からのあらすじ:③俊の家族の秘密
それからしばらくして、コクリコ荘の下宿人の送別会が開かれることとなり、俊たちも招待されます。
そこで海はコクリコ荘の家の中を案内して家族の写真を見せますが、その写真を見るなり、俊は驚きます。
その写真とは、海の父・澤村雄一郎と、立花洋、小野寺善雄が写っているもの。
俊は同じ写真を持っており、両親から「自分は養子で、実の父親はそこに写っている澤村雄一郎である」と聞かされていたからです。
俊は、父に改めて自分の生い立ちについて聞き出します。
すると、父は、両親が生まれて間もない第一子を亡くしてしまったこと。
そこに親友であり海の父である澤村が赤ん坊を連れて現れ、育ててほしいと頼まれたので赤ん坊の俊を引き取ったという経緯を打ち明けます。
俊は自分が海と兄妹関係であることに言葉を失ってしまいます。
それから、「お前は俺たちの子だ」という父の声かけに静かにうなずき物思いに沈みます。
コクリコ坂からのあらすじ:④カルチェラタンの存続と2人の関係
一方、カルチェラタンが不衛生だという理由で取り壊されそうになっていることを知った海は、大掃除を提案します。
生徒会長・水沼たちもこの提案に賛成し、生徒一丸となって大掃除が始まりました。
一方で、その日から俊が露骨に海を避けるようになります。
しびれを切らした海が俊の態度を問いただすと、俊は自分たちが兄妹関係であることを話します。
大掃除が完了し、見違えるように綺麗になったカルチェラタン。
俊は、海たちと一緒に東京にいる理事長の元へカルチェラタン取り壊し撤廃の直談判をしにいきます。
理事長は、俊たちの訴えを聞き入れ、カルチェラタンを見学する約束をします。
コクリコ坂からのあらすじ:⑤俊の本当の父親が判明
コクリコ荘に戻った海は、アメリカから帰ってきた母と久しぶりに再会し、俊との関係について聞きます。
すると、俊の実父は海の父ではなく、写真に写っている別の男性・立花洋であることが発覚します。
海の父は、立花が戦争で亡くなり、俊の実母も亡くなってしまったことから、残された俊が孤児院行きになるのを避けるため、風間夫妻の元に赤ん坊の俊を連れて行っていたのでした。
翌日、カルチェラタンの見学にきた理事長は、見違えるように綺麗なったカルチェラタンの姿に感激し、取り壊しの撤廃を言い渡します。
そんな中、俊の元に、3人の写真に映ったもう1人・小野寺が存命であるという情報が入ります。
自らの生い立ちを確かめるため、俊は海を連れて小野寺の元を訪れることに。
小野寺は、俊から見せられた写真に対して、俊が立花洋の父親であると断言しました。
そして、大親友であった立花の息子・俊と、澤村の娘・海に会えたことに感激し、喜びます。
3人は笑いあい、握手を交わし、別れます。
2人はタグボートに乗り、綺麗な夕焼けに照らされたコクリコ荘を眺めて物語は幕を閉じます。
コクリコ坂からのあらすじ:コクリコ荘とカルチェラタンの対比に注目
『コクリコ坂から』の舞台となっているのは、オリンピックを目前に、新しいものを取り入れ古いものは壊していこうという考えが浸透する時代。
海の住むコクリコ荘と俊の拠点・カルチェラタンは、どちらも古く歴史ある建物として登場します。
コクリコ荘は、医者や画家を目指す地に足つけて自立しようとするエネルギー溢れた女性たちのたまり場。
一方、カルチェラタンは、新聞、哲学、天文、アマチュア無線など好きなことに没頭するこちらもエネルギー溢れた青年たちの溜まり場となっています。
同じ時期に建てられたはずの古き建築物ですが、コクリコ荘が綺麗に保たれている一方で、カルチェラタンの不衛生でガタが来ている様子は、女性と男性の生き方の違いを反映しているとも言えます。
映画を観る時は、そんな対比にも注目してみるとおもしろいかもしれません。
コクリコ坂からのあらすじ:宮崎駿が語る戦争を経験した先祖への敬意
俊が海と血縁関係があることを悟った時、「まるで安っぽいメロドラマだ」と吐き捨てるシーンがあります。
物語の舞台となった1960年代といえば、日本社会の景気は上向き、人々は活気に漲る一方で、太平洋戦争の終戦からわずか20年ほどしか経っておらず、多くのところに戦争の影が残っています。
俊の出生の秘密も、その一つに過ぎません。
宮崎駿氏は、「真実を知ろうと、(メルと俊の)2人は自分で確かめに行く。簡単ではない。戦争と戦後の混乱期の中で、2人の親たちがどう出会い、愛し生きたかを知っていく。昔の船乗りの仲間や、特攻隊の戦友たちも力になってくれるはず。彼らは最大の敬意を2人に払うだろう」と語ります。
つまり、俊の出生の秘密は2人のロマンスを盛り上げるためのものとして描かれたのではなく、戦争を直接経験していないものの、戦争によって親を亡くす悲劇を被った若者が、その真実と向き合っていく過程を描いているのです。
俊は「血縁関係があるかもしれないから」と海との決別を選ぶのではなく、自分たちの想いを大切にし、真実と向き合おうと強く決心を固めます。
結果、2人は親の世代の優しさと愛を知ることとなるのです。
まとめ
この記事では、「コクリコ坂から」のネタバレありのあらすじをご紹介しました。
彼らにとって大事なカルチェラタンはどうなるのか、そして俊と海の関係はどうなってしまうのか。
『コクリコ坂から』の物語は淡々と描かれているようで、不安を乗り越えるまでのドキドキも感じる作品です。
また、1960年代という時代の歴史的な背景もしっかり落とし込まれています。
トリビアをよく理解した上で見ると、一層面白さが増すこと間違いなしです。
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