【ジブリ映画】『ゲド戦記』のネタバレありのあらすじ解説!原作者や宮崎駿氏からの評価は?
2006年公開のジブリ映画『ゲド戦記』のあらすじをネタバレ込みで紹介!宮崎駿の長男・宮崎吾朗氏が初めて手掛けた長編アニメーション映画『ゲド戦記』は、混沌とした世界で精神を病んだ少年が国王である父を殺し、逃亡した先で大賢人と出会い旅をする冒険物語です。スタジオジブリ作品の中でも大衆の評価が低く、宮崎駿や原作者からも酷評されていますが、一体どんなストーリーだったのでしょうか。詳しく解説していきます。
こんにちは、Reneです。
今回は2006年公開のスタジオジブリ作品『ゲド戦記』のあらすじを紹介します。
映画版の『ゲド戦記』は、米国作家アーシュラ・K・ル=グウィン原作『ゲド戦記』シリーズの3巻『ゲド戦記 さいはての島へ』が原作。
さらに宮崎駿氏の絵物語『シュナの旅』を原案として、2006年にスタジオジブリによって映像化されました。
監督を務めたのは『コクリコ坂から』や『アーヤと魔女』を手掛けた宮崎吾朗監督。
この記事では、長編アニメーション映画『ゲド戦記』のネタバレありのあらすじから原作者が映画に対して漏らした不満や宮崎駿のコメントなどもまとめています。
ぜひ最後まで読んでみてください。
- ◆アレン/レバンネン(声優:岡田准一)
- ◆テルー/テハヌー(声優:手嶋葵)
- ◆ハイタカ/ゲド(声優:菅原文太)
- ◆テナー(声優:風吹ジュン)
- ◆クモ(声優:田中裕子)
・ゲド戦記のあらすじ
- ◆アレンの苦悩と大賢人との出会い
- ◆アレンを嫌う少女
- ◆明らかになる混沌とした世界の元凶
- ◆【ネタバレあり】クモとの対立、テルーの本当の姿
・ゲド戦記のあらすじ:トリビア
- ◆原作者は映画版に批判的な見解を示している
- ◆父・宮崎駿氏からの評価
ゲド戦記のあらすじ:主な登場人物
『ゲド戦記』の主要キャラクターと声優をご紹介します。
物語を理解するには、ひとまず以下のキャラを覚えておけば大丈夫です!
◆アレン/レバンネン(声優:岡田准一)
主人公・17歳でエンラッド王国の王子。
均衡が崩れた世界で、精神を病み父親を殺してしまいます。
王国を飛び出し、生きる希望を失う中、ハイタカと出会い旅をして心境に変化が芽生えます。
やがて、世界の命運をかけた争いと対峙することに。
◆テルー/テハヌー(声優:手嶋葵)
幼い頃に、顔に火傷を負った状態で両親に捨てられてしまう少女。
テナーに拾われ成長していきますが、命を大切にしないアレンに嫌悪感を抱きつつも時間を共にする中で打ち解けあっていきます。
◆ハイタカ/ゲド(声優:菅原文太)
世の中の均衡が崩れつつある元凶を探す旅をしている大賢人。
魔法を使えるが、世の中の均衡を保ため極力使わずに生活しています。
王国から逃げてきたアレンと出会い、一緒に旅をしていくことに。
◆テナー(声優:風吹ジュン)
道端に捨てられていたテルーを助けた名付け親であり育て親。
ハイタカとは旧友の仲で、旅の途中のハイタカとアレンを家に迎え入れます。
◆クモ(声優:田中裕子)
死を恐れ、開けてはならない生死両界の扉を行き来している魔法使い。
世の中の均衡を崩している元凶であり、後にハイタカとアレンはクモと対峙することとなります。
ゲド戦記のあらすじ
では映画版のあらすじを紹介します。
後半は映画の展開やキャラクターの正体に関するネタバレを含みますのでご注意くださいね。
◆アレンの苦悩と大賢人との出会い
魔法がはびこる世界で、前触れもなく世の中の均衡が崩れ始め恐怖と不安が人々を支配する時代がやってきます。
エンラッド王国では、育てていた家畜が謎の大量死、生まれたばかりの乳児が次々に死に、疫病に干ばつ......と数々の災厄に見舞われていました。
そんな中でも国王は、人々を安心させるため凛とした姿勢で原因追及に務めます。
しかし王子アレンは父親のような強さを持っておらず、日に日に精神を病んでいき、ある日衝動的に父親を刺し殺してしまいます。
目の前で父親が倒れるをのを見て正気に戻ったアレンは、取り返しのつかない事態に恐れ、父親の魔法の剣を抜き取り王国から逃げ出しました。
行く当てもなく荒地を歩き続けていていたアレンは飢えた獣たちに囲まれ死を覚悟しますが、偶然そこに居合わせた大賢人ハイタカに助けられます。
ハイタカは魔法を操ることのできる男で、世界の均衡が崩れ始め、竜が人間を襲ったり魔力が極端に弱まりつつある異変の元凶を探るために旅をしているのでした。
途方に暮れていたアレンを旅の共に迎え入れることにしたハイタカは、荒地の先にあるホート・タウンへ歩みを進めます。
世界の均衡が保たれていた頃は美しく平和であったホート・タウンは姿を変え、麻薬の密売、奴隷の人身売買が横行し、店にはガラクタばかりが並ぶ都城へと落ちぶれていました。
◆アレンを嫌う少女
エンラッド王国を出たことのなかったアレンにとってホート・タウンは全くの別世界で全てが刺激的でした。
ハイタカと別れて都城を散策していると、アレンは顔に傷をおった少女が人狩りに囚われそうになっている現場に遭遇します。
アレンは即座に少女を助けますが、人狩りから刃を向けられた時に無抵抗な態度を示したアレンに少女は命を粗末にしていると強い嫌悪感を抱きその場を去っていきます。
その晩、アレンはひとりでいるところを人狩りに狙われあっさりと拘束され、他の奴隷たちと一緒に車に積まれてしまいますが、ハイタカの救出によって全員解放されることに。
ハイタカは、アレンと一緒に旧友テナーの家へ向かいます。
テナーの家で久しぶりに温かい暖炉、布団、食事を堪能し休息をとりますが、翌朝起きるとそこにはアレンが助けた少女の姿がありました。
少女はテルーという名で、幼い頃に火傷を負った状態で道端に捨てられているところをテナーに拾われ一緒に暮らしているのでした。
アレンはテルーに歩み寄ろうとしますが「命を大切にしない奴なんて大嫌いだ」と一蹴されてしまいます。
しかし、テナーの家で一緒に過ごしているうちにアレンの恐怖に怯える姿や垣間見える優しさにテルーは次第にアレンを受け入れていくようになります。
◆明らかになる混沌とした世界の元凶
平穏な日々が続く中、家畜の世話をしているテルーの元へ出向き、アレンは自分がエンラッド王国の王子であり、父親を殺害して王国を飛び出してきたことを打ち明けます。
テルーは静かにアレンの話を最後まで聞き、受け入れるのでした。
全てを打ち明けたアレンは、再びひとりで旅をする決意を固め3人を残してテナーの家を出ていきます。
アレンと入れ違いでテナーの家へやってきたのは、少し前にテルーとアレンを捕え損ねていた人狩りウサギでした。
ウサギは、テナーを誘拐しテルーにハイタカをクモの住む屋敷へ来るよう伝言を残します。
一方ひとりで旅を始めたアレンの前に現れたのは、永遠の命を手に入れようと開けてはならない禁断の生死両界を行き来する魔法使いクモでした。
クモは、アレンの影を呼び起こします。
ハイタカがクモの屋敷へたどり着くと、そこには正気を失いハイタカを見るなり襲い掛かろうとするアレンの姿がありました。
影に支配されてしまったアレンに、ハイタカは永遠の命などないこと、いつか死ぬことが分かっていることは素晴らしいことであること、持っているものはいつか失うということを訴えかけます。
しかし、影の力が強すぎるためアレンを止めることができず、ハイタカは魔法を奪われテナーのいる監獄へ閉じ込められてしまいます。
その頃、テルーは廃人と化したアレンの元へ魔法の剣を持ってやってきて、アレンは死ぬことを恐れているのではなく、生きることを恐れているのだと諭します。
テルーの言葉は、アレンの光を呼び起こし、彼は正気を取り戻します。
アレンは、父から奪った魔法の剣を手に、クモを倒す決心をします。
◆【ネタバレあり】クモとの対立、テルーの本当の姿
アレンがクモの元へいくと、そこには高台で処刑されそうになっているハイタカとテナーの姿がありました。
クモはアレンとテルーを魔法の力で制圧しようとしますが、その戦いの最中にテルーが殺されてしまいます。
唖然とするアレンですが、その直後「待ちなさい」という声がどこからから響き渡り、死んだはずのテルーが竜の姿となってアレンたちの前に現れます。
テルーは、かつて人間として生きることを選んだ竜族の子孫であったのです。
テルーの吹き出す炎によってクモは命を落とし、生死両界を行き来していたクモの死によって世界の均衡は静かに戻り平和な世界が訪れるのでした。
長い争いの末、世界に均衡を取り戻したアレンは自分の罪と向き合うためにエンラッド王国へ戻る決心をします。
テルーとテナーと再会を約束し、ハイタカと共にエンラッド王国を目指して再び旅に出るのでした。
ゲド戦記のあらすじ:トリビア
最後に、映画版『ゲド戦記』にまつわるトリビアを2つご紹介します。
映画と原作の関係など、予備知識として持っておくとより映画の見方が深まりますよ。
◆原作者は映画版に批判的な見解を示している
原作者のアーシュラ・K・ル=グウィン氏は、自身のホームページで「Gedo Senki」という日本語のタイトルで完成した作品の感想を述べています。
その中で「となりのトトロののような繊細さや千と千尋の神隠しのような力強く豊かなこだわりがかけている」「物語の辻褄が合わない」「生死、世界の均衡という原作のメッセージが説教くさい」「アレンが父親を殺す動機が薄い」などの不満を吐露しています。
一方で「テルーの唄が良い」「絵が美しい」などと好評する部分も見られます。
大賢人・ハイタカの視点で物語が進む原作小説に対して、映画版の主人公はアレンです。
原作にはない父親殺しを脚色として盛り込んだ映画版のストーリーは、原作作家には響かなかったようです。
◆父・宮崎駿氏からの評価
宮崎駿氏は、長年『ゲド戦記』の映像化を希望し、原作者に何度も手紙や企画を送るなどのアプローチを続けていましたが、断られ続けてきました。
しかし原作者が『となりのトトロ』を見て、『ゲド戦記』を映像化するなら宮崎駿以外にあり得ないと考え、ついに映像化の話が舞い込んできます。
しかし、その頃すでに宮崎駿氏は『ハウルの動く城』を制作中。
そこでスタジオジブリのプロデューサー鈴木俊夫は、宮崎吾朗氏を監督に任命します。
それを聞いた宮崎駿氏は激怒して宮崎吾朗氏の監督就任を拒否、親子関係は完全に冷え切る結果に。
完成した『ゲド戦記』の試写会では途中退出し、タバコを吸い始めてしまったのだとか。
その後宮崎駿氏は、「僕は自分の子供を見ていた。大人になっていない。それだけ。一本作れたからいいじゃんね。それでもうやめたほうがいい。」という短く痛烈な感想を残しています。
宮崎吾朗氏による初の長編アニメーション作品は商業的な成功や評価を得ることなく終わってしまいますが、彼はその後も制作・監督業を続けていきます。
2021年劇場公開の『アーヤと魔女』では、ジブリ初のフル3DCGアニメに挑戦し、父・宮崎駿氏からも絶賛を受けています。
『ゲド戦記』は、宮崎吾朗氏のアニメーション監督としての出発点、成長過程を知ることができる作品として、とても価値ある一作と言えるのではないでしょうか。
まとめ
この記事では、「ゲド戦記」のネタバレありのあらすじをご紹介しました。
キャラクターやトリビアをよく理解した上で見ると、一層面白さが増すこと間違いなしです。
みなさんも『ゲド戦記』を鑑賞する際は、ぜひこちらの記事を参考に楽しんでくださいね。
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