【ジブリ映画】『おもひでぽろぽろ』を徹底解説!あらすじ、主要キャラと声優、原作、魅力(トリビア)まとめ!
1991年公開の高畑勲監督による長編アニメーション映画『おもひでぽろぽろ』は、東京育ちの27歳のOL・タエ子が休暇で田舎を訪れる夜行列車の中で、小学生の頃を振り返る物語。素朴だけれど温かいストーリーが特徴的な『おもひでぽろぽろ』のあらすじ、主要キャラと声優、トリビア、公開年、興行収入についてまとめていきます。
こんにちは、Reneです。
今回は、1991年公開のジブリ映画『おもひでぽろぽろ』について徹底解説します。
世界中から高い注目を集めるスタジオジブリを代表するアニメーション監督のひとり・高畑勲氏が手掛けた本作は、何気ない日常の幸せや目の前に広がる自然の美しさを再認識させてくれます。
子どもと大人で見え方が違ったり、生まれた世代によって捉え方が変わったりするのも本作の魅力のひとつと言えそうです。
それでは、あらすじから始め、キャラクター・声優、原作、トリビアなど多角的に『おもひでぽろぽろ』を読み解いていきましょう。
- ◆受賞歴と海外での評価
- ◆テレビ放送履歴
- ◆2011年には舞台化も
・ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』あらすじ
- ◆ワタシとの再会
- ◆念願の田舎生活
- ◆タエ子の転機
- ◆タエ子の決断
・ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』主要キャラクターと声優
- ◆岡島タエ子-27歳(声優:今井美樹)
- ◆岡島タエ子-10歳(声優:本名陽子)
- ◆トシオ(声優:柳葉敏郎)
・ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』原作情報
・ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』トリビア
- ①高畑勲が描きたかった結末はまったく別物?
- ②27歳のタエ子とトシオのモデルは声優陣たち
ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』作品概要
ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』は、1991年7月20日に公開されました。
1987年から週間明星より連載していた岡本螢の同名漫画を原作に、『火垂るの墓』『平成狸合戦ぽんぽこ』『かぐや姫の物語』などを手掛けた高畑勲によって映像化が実現。
キャッチコピーは、「私はワタシと旅に出る」。
27歳の現在の”私”が、小学生の頃の”ワタシ”を思い出しながら夜行列車に揺られて田舎に向かうことから誕生しています。
あの頃は、理解できなかったことやつまらなかったことも、年を重ねることで気づける出来事はたくさんあります。
ワタシを振り返ることで、自分自身の成長に気づいたり、時の流れを感じるハートフルなストーリーを暗示させるキャッチコピーです。
◆受賞歴と海外での評価
日本国内では、「第15回日本アカデミー賞(1992年)」の話題賞作品部門/俳優部門にてノミネート、「第9回ゴールデングロス賞」のマネーメイキング監督賞を受賞しています。
国内の興行収入は31億8000万円を記録。
公開から91日間で、216万人以上の劇場動員数を記録しました。
◆テレビ放送履歴
劇場上映から、8回のテレビ放送がありました。
全てが「金曜ロードSHOW!」での放送となっています。
◆2011年には舞台化も
2011年、長編アニメーション『おもひでぽろぽろ」を原作に、「わらび座」が企画制作をし、スタジオジブリの協力のもと、ミュージカル舞台化がされました。
スタジオジブリの映画がミュージカル舞台化するのは、本作が初めてのこと。
その後、『風の谷のナウシカ』が歌舞伎舞台化、2022年には『千と千尋の神隠し』も舞台化を控えています。
ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』あらすじ
続いては、『おもひでぽろぽろ』のあらすじをご紹介します。
未見の方はご注意ください。
◆ワタシとの再会
舞台は、1982年の東京。
OLをしている27歳のタエ子は、休暇を使って姉の嫁ぎ先である山形県の田舎を訪れることに。
東京で生まれ育ったタエ子は、子どもの頃から長期休みの度に田舎の祖父母を訪れる友人たちを羨ましく思っており、姉が田舎に引っ越したことで、初めて「帰るべき田舎」ができたことを嬉しく思います。
夜行列車に揺られる中、27歳のタエ子は、小学校5年生の頃を思い出し、かつての”ワタシ”の記憶を呼び起こし、27歳の私と小学5年生のワタシが共に旅をすることに。
小学5年生の出来事を思い出すタエ子。
夏休みになっても帰るべき田舎のないタエ子は、家族にわがままを言っておばあちゃんと2人で熱海旅館に泊まりに行くものの、張り切りすぎて大浴場でのぼせて倒れてしまったこと。
缶詰のパイナップルしか食べたことのなかったタエ子が、本物のパイナップルに憧れたものの、熟す前のパイナップルを切ってしまい、全く甘くないのに意地になって家族の分までひとりで食べていたこと。
広田くんという同級生から好意を向けられ、好きな天気で「くもりの日」が同じだったことに胸の高鳴りを感じたこと。
そんなささやかな日常を思い浮かべながら夜行列車に揺られていました。
◆念願の田舎生活
夜行列車が目的地に着くと、姉の夫側の親戚である25歳の青年・トシオが待っていました。
トシオは有機農業を営んでおり、2人は出会って早々に意気投合します。
トシオの誘いで、農業の手伝いをすることにしたタエ子は、朝早くに紅花を摘み、きゅうりを収穫し、東京に住んでいては絶対に経験することのできない農作業体験を楽しみます。
と、ここで小学5年生の頃を思い出すタエ子。
頭が固く、割り算がどうしてもできず25点をとってしまったこと。
“分母と分子をひっくり返す”ことや”割り算なのに掛け算を使う”というのが、どうしても納得できずに、とにかくひっくり返してかければいいだけの計算ができずにいたのです。
この考えすぎる性格は、大人になっても引き継がれており、27歳になっても独身なのはそのせいだとトシオに嘆き、笑いを誘います。
あっという間に10日間は過ぎ去り、タエ子が東京に帰る日の前夜。
勤勉な性格のタエ子を気に入ったトシオの祖母は、嫁入りしないかと声をかけます。
それを聞いたタエ子はびっくり。
憧れの田舎生活ができるという感動と同時に、この10日間は責任感もなくただ楽しく仕事をしていただけなことに気づかされ、暑い夏や寒い冬も休まず働き続けなくてはならない厳しい現実に覚悟が決まりません。
◆タエ子の転機
家を飛び出したタエ子を迎えに来たトシオ。
タエ子は、トシオに小学5年生の頃の話をします。
アベ君という転校生がクラスにやってきたこと。
アベ君は、貧しい家庭の子で、体操着すら持っておらず、いつも汚れた服を着ていました。
転校して早々に、クラスのみんなからは不潔だと避けられてしまいますが、隣の席になったタエ子は、差別はよくないと思い、他と変わらず接します。
それからしばらくして、アベ君は再び転校することに。
最後の別れの挨拶として、ひとりひとりと握手をするよう担任の先生が言いました。
アベ君は、クラスのみんなと握手を交わしますが、唯一タエ子には「お前とは握手してやんねえ」と握手を拒みます。
その時、タエ子は、アベ君を1番汚い、可哀想と思っていたのは自分であって、それがアベ君にも伝わってしまっていたのだと後悔したのでした。
その話を聞いたトシオは、タエ子にいいます。
「アベ君は、タエ子のことが好きだったのではないか」と。
クラスのみんなから嫌われていたアベ君は、自分を唯一受け入れてくれている存在に甘えて、クラスのみんなの前で強がったのではないだろうかと見解を示します。
トシオの見解に思い当たる節のあったタエ子は、ハッとします。
それから「ひょっこりひょうたん島」の歌詞で「今日がダメなら明日にしましょ」という部分を「明日があるさ」という意味だと、前向きに捉えているという話をしたりして、家に戻ります。
◆タエ子の決断
翌朝、荷物をまとめ、東京に帰る支度をしたタエ子に、トシオの祖母は、「あのこと考えておいてくれ」話します。
それから、田舎の人々と別れ、タエ子は夜行列車に乗車。
一緒に乗り合わせたおじさんの持つラジオから「愛は花。君はその種子」という曲が流れる中、タエ子は、小学5年生のワタシとクラスメイトたちに囲まれながら考えます。
そして、思い立ったように次の駅で下車し、向かいのホームへと駆け出すタエ子。
トシオと別れた駅へ戻り、黄色い公衆電話からトシオの家に電話をかけます。
トシオの家では、タエ子の決断に家族みんなが歓喜し、トシオが車を走らせます。
そして、バスに乗っていたタエ子と車を走らせていたトシオが交差した時、2人はそれぞれ乗っていた乗り物から降り、向き合いお辞儀をします。
そこには、小学5年生のタエ子とクラスメイトたちが感慨深く見送る視線がありました。
ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』主要キャラクターと声優
では、主要なキャラクターと声優を紹介します。
◆岡島タエ子-27歳(声優:今井美樹)
東京で生まれて田舎に憧れを抱きながら27歳になったOL女性の主人公。
姉(長女)のナナ子が結婚したことで、嫁ぎ先の田舎に遊びに行き、そこで昔を思い出しながら田舎の生活を謳歌します。
1963年4月14日生まれの歌手・女優である今井美樹さんがタエ子の声を演じました。
◆岡島タエ子-10歳(声優:本名陽子)
岡島家3姉妹の末っ子で、基本的に優しく穏やかな性格ですが、家族の前ではわがままで頑固な一面も見せる女の子。
特に、次女のヤエ子とはよく口論に。
1979年1月7日生まれの女優・歌手である本名陽子さんが、タエ子の幼少期を演じました。
◆トシオ(声優:柳葉敏郎)
トシオはナナ子の旦那の又従兄弟。
田舎に遊びに来たタエ子の世話をします。
タエ子より2歳年下の25歳で、脱サラ後、無農薬の農家を営み、冬にはスキーインストラクターとして働く勤勉な青年。
1961年1月3日生まれの俳優・歌手・タレントの柳葉敏郎さんが、トシオを演じました。
ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』原作情報
映画『おもひでぽろぽろ』は、岡本螢と刀根夕子による同名漫画『おもひでぽろぽろ』を原作として、高畑勲がアニメーション化に挑みました。
原作漫画は、1987年3月から9月まで「週間明星」で連載され、1988年2月に2巻で完結する単行本が出版されています。
原作漫画と映画で大きく異なる点は、「27歳のタエ子の存在」です。
なんと、原作漫画に27歳のタエ子が出てくることはありません。
つまり、27歳のタエ子は、高畑勲の脚色によって生み出された映画版限定のオリジナルキャラクターということです。
ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』トリビア
最後に、本作に関するトリビアを2つご紹介します。
①高畑勲が描きたかった結末はまったく別物?
エンドロールでは、田舎の暮らしに憧れを抱き、田舎の暮らしを体験したタエ子が思い悩んだ末に、トシオのいる田舎へと戻るという結末で終わっています。
ここまで見ると、タエ子とトシオは結ばれて2人で農業を営みながら、タエ子が長年憧れていた田舎暮らしの夢を叶えたように見えます。
しかし、制作当初、高畑監督は違った結末を描こうとしていました。
それは、タエ子が東京行きの列車に乗ったところでエンドロールに入り、その後、2人が会うことはないというもの。
スタジオジブリの映画監督・宮崎駿氏も高畑案に賛成していたのですが、ここで「待った」をかけたのがプロデューサーである鈴木敏夫氏。
鈴木敏夫氏のはっきりとしたクライマックスを求める声に、答える形で、タエ子がトシオの元に戻る結末に落ち着きました。
②27歳のタエ子とトシオのモデルは声優陣たち
映画版オリジナルキャラクターである27歳のタエ子とトシオのモデルは、声を演じた今井美樹さんと柳葉敏郎さんであることが明かされています。
高畑監督は、キャラクターを生み出すモデルとして2人を採用し、その後、声優としてキャスティングしたそうで、見た目の他にも、骨格や筋肉の動きなども細かく参考にしたと言われています。
まとめ
この記事では、『おもひでぽろぽろ』について徹底解説していきました。
作品概要、あらすじ、主なキャラクターと声優、原作の情報の他に、意外な制作秘話についてもまとめているので、次回『おもひでぽろぽろ』を視聴される際には、ぜひ注目してみてくださいね!
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