【ジブリ映画】『魔女の宅急便』の原作を読む!あらすじ、映画と原作の違い、トンボとキキの恋の行方は?
ジブリ映画『魔女の宅急便』の原作を解説!魔女の少女キキが独り立ちする成長物語を描いたスタジオジブリの長編アニメーション『魔女の宅急便』は、角野栄子による同名児童文学「魔女の宅急便」が原作です。トンボとの出会い方が違うなど、映画では語られない部分を知ることで一層物語に深みが増す「魔女の宅急便」。この記事では、原作小説のあらすじ、映画と異なる点について徹底解明していきます!
こんにちは、Reneです。
今回は、1989年に公開されたジブリ映画の名作『魔女の宅急便』の原作についてご紹介します。
ジブリ映画というと多くの作品はアニメ界の巨匠・宮崎駿氏が原案や原作・脚本・監督を務めているイメージですが、原作者が別にいる作品もあります。
『魔女の宅急便』はスタジオジブリにとって2本目の、外部の原作者作品を映画化したものなんですよ(1本目は野坂昭如原作の『火垂るの墓』)。
では、『魔女の宅急便』の原作とはどんなものなのでしょうか?
作品の背景や映画版との違いなどをまとめました。
- ◆原作小説「魔女の宅急便」はどこで買える?
- ◆対象年齢は?
・魔女の宅急便の原作:小説版のあらすじ
- ①キキの旅立ち
- ②キキの選んだ街
- ③キキ、初めての仕事
- ④キキ、ホウキを盗まれる
- ⑤キキのモヤモヤと秘密の宅急便
- ⑥待ちに待った里帰り
・魔女の宅急便の原作:映画と原作小説の違う点
- ①キキは、ロングヘアーだった!?
- ②映画でジジがしゃべらなくなった理由は、魔女の付き猫の”役割”が関係している!?
- ③キキとトンボの関係
- ④原作ではキキの仕事シーンがたくさんある
魔女の宅急便の原作:原作は児童文学小説
小説「魔女の宅急便」は、角野栄子氏による児童文学小説です。
1982年から1983年まで、月間の育児雑誌「母の友」(福音館書店より)で連載されていました。
その後、1985年から2009年まで24年かけてシリーズが単行本で出版され完結しています。
映画化にあたって、原作者の角野栄子氏は「キキの旅立ちで、高い木にかけられた鈴を鳴らすことだけは物語に入れてほしい」というこだわりをスタジオジブリにリクエストしていました。
しかし、制作が進むにつれて映画は原作からかけ離れた内容になっていったため、角野氏は否定的な姿勢をみせたといいます。
最終的には宮崎監督との交渉によって問題も解決し、完成したのが映画版『魔女の宅急便』です。
◆原作小説「魔女の宅急便」はどこで買える?
映画の原作となった小説「魔女の宅急便」は、出版社である「福音館書店」と「角川文庫」から現在も購入可能です。
角川文庫の文庫版は607円、福音館書店のハードカバー版は1,650円です。
◆対象年齢は?
原作版の『魔女の宅急便』は、小中学生から自分で読める作品です。
漢字にはルビもついているので、本を読むことに慣れていれば小学校低学年からでも読み始められますよ。
魔女の宅急便の原作:小説版のあらすじ
それでは原作小説『魔女の宅急便』のあらすじをご紹介します。
一部ネタバレも含みますのでご注意くださいね。
①キキの旅立ち
魔女のお母さんと、普通のお父さんの間に生まれたキキは、自然に囲まれた小さな街で暮らしています。
魔女の血筋を受け継ぐキキは、お母さんの後を継いで魔女になる決心をしました。
魔女になると決まれば、13歳の年の満月の夜を選んで、故郷を離れ、魔女のいない街を探しそこで1年間ひとりで暮らしていくしきたりがあります。
早速、黒猫のジジとふたりで旅立ちの日をいつにしようかと話しながら、お母さんから空の飛び方を習いました。
フラフラと飛ぶ、キキを心配したお母さんは、一番高い木の先端に鈴をつけ、キキが低く飛んでいたら、鈴が音を鳴らしてくれるようにしました。
おかげで、夜な夜な鈴の音が聞こえると街の人々はキキが空を飛ぶ練習をしているのだと、その音に耳をすませるのでした。
そして、出発の日が決まりました。
キキは、お母さんから黒いワンピースと丈夫なホウキ、お弁当を用意してもらい、お父さんから赤いラジオをもらいました。
涙を堪えながら「すぐに手紙を書くわ」と声をかけ、キキとジジは満月に向かって空高く旅立っていきました。
②キキの選んだ街
途中、魔女の先輩と遭遇したりしながら自分に合う街を探して飛び続けるキキ。
ようやく青い空と青い海が見える街、コリコに降り立ちました。
その街は、海に囲まれ、大きな橋があり、そこを汽車が走っていました。
高い建物が並ぶ中心には時計台もあります。
「魔女が暮らすには街の規模が大きすぎるんじゃないか」というジジの言葉もきかず、キキはこの街で暮らすことを決めます。
しかし、街の人々は、キキを見るなり、「空を飛ぶなんて変だ」「魔法で悪いことをするんじゃないか」「住みたいなら勝手にすれば」とあまり歓迎してくれませんでした。
落ち込むキキがホウキを持って歩いていると、近所のパン屋からおソノさんという女性が飛び出してきました。
どうやら、お客さんが赤ちゃんのおしゃぶりを忘れていってしまったようですが、妊娠中でお腹の大きなおソノさんは走って追いかけることができません。
そこでキキはホウキにまたがり、空を飛んでお客さんの忘れ物を届けに行きました。
このことでキキを気に入ったおソノさんは、泊まるところがないキキに部屋を貸してくれることになりました。
新しい街で不安いっぱいのキキでしたが、おソノさんとの素敵な出会いに心温まり、コリコでがんばってみようと決心するのでした。
③キキ、初めての仕事
キキはコリコの街で、ほんのちょっと”おすそわけ”を運賃に人々の荷物を届ける「お届け屋さん」を始めることにしました。
おソノさんに「魔女の宅急便」とお店の名前を決めてもらい、電話回線を繋ぎ、早速開店です。
お客さんが来ない1週間を過ごしたあと、ようやくパン屋を訪れた女性から依頼をもらいます。
依頼は、甥っ子への誕生日プレゼントとして、黒猫のぬいぐるみが入った鳥かごのオブジェを届けてほしいというもの。
キキは早速ジジと共にホウキで配達に出発しますが、アクシデントにより中身のぬいぐるみを落としてしまいます。
時間通りに届けることを優先したいキキは、ジジにぬいぐるみの身代わりをさせて荷物を届け、急いでぬいぐるみを落としたところへ探しに行きました。
すると、森の中の一軒の家のなかで、キキが落としたぬいぐるみを被写体に絵を描いている女の子と出会います。
キキは事情を話してぬいぐるみを返してもらうかわりに絵のモデルになる約束をし、無事にぬいぐるみとジジを取り換えることができたのでした。
④キキ、ホウキを盗まれる
新しい街での生活も慣れ、仕事の息抜きにビーチへ出かけたキキ。
最初はいいお天気でしたが次第に海が荒れはじめ、キキは親子が海でおぼれていることに気づきます。
ホウキに乗って助けに行こうとするキキでしたが、いつものようにうまく飛べません。
なんとキキのホウキは、別物と取り替えられていました。
慣れないホウキで不安定ながらも必死に飛び、ふたりを救助したキキ。
人々はキキの活躍に大歓声を上げましたが、ホウキをすり替えられた彼女は怒り心頭です。
キキは先ほどビーチで目撃した、ホウキを持った男の子が犯人に違いないと周辺を探します。
そして小さな丘のテッペンからホウキにまたがり飛び降りようとする男の子を見つけるものの、男の子は飛べずに転落。
キキは怒っていたはずなのに、あまりに不格好な男の子に笑ってしまいました。
男の子は、トンボさんと言いました。
トンボさんは、飛行クラブに入っていて空飛ぶものの研究をしており、キキのホウキに興味があったのです。
キキは、魔女の血が入っていないと空は飛べないのだということを教えてあげました。
⑤キキのモヤモヤと秘密の宅急便
宅急便の仕事も順調なキキでしたが、最近は心がモヤモヤしていました。
その原因は、ホウキ事件後、度々会うようになったトンボさんから言われた「キキは、サバサバしていて気楽でいいや。女の子って気がしないもんな。なんでも話せるし。」という言葉でした。
自分は街の女の子と何が違うのだろう?と、キキは悶々とします。
そんなある日、キキと同い年くらいの女の子から宅急便の依頼がきます。
彼女は、近所のアイくんに誕生日プレゼントの万年筆と手紙を匿名で届けてほしいと頼みます。
キキがなぜ自分で届けないのかと尋ねると、女の子は「あなたはそういう気持ちわからないの?」とちょっぴり意地悪な言い方で返しました。
ムキになったキキが、アイくんがどう思うか心配なのねと言い返すと、「男の子は、半分しかわからないと、もう半分も知りたくなるものなのよ」と先輩ぶった口調で話しました。
キキは、女の子が描いた手紙の内容が気になって仕方なくなり、こっそり中身を読んでみることにしました。
しかしその瞬間、手紙は強風に飛ばされてしまいます。
キキはどうにか手紙の内容を思い出して、同じようなことを落ち葉に書き、プレゼントと一緒にアイくんに届けました。
その後、女の子に会ったキキは、黙っていられず本当のことを話しました。
女の子は、キキのことを怒ることなく、アイくんが自分からプレゼントだということに気付いてくれたことを話してくれました。
そして、自分はミミという名前であることを名乗り、ふたりは友達になりました。
⑥待ちに待った里帰り
キキがコリコの街で暮らし始めてもうすぐ1年になります。
街でもちょっぴり名のしれた存在となったキキに、里帰りが許される時がやってきました。
出発前、キキはトンボさんから紙包みをもらいました。
中には、黒猫の刺繍が入った肩からかけるカバンと「あした大川の橋の上で手を振ります。
トンボ」と書かれた手紙が入っていました。
キキは、トンボさんが自分のことを”女の子”として見てくれているんだと嬉しさでいっぱいになります。
1年ぶりにお母さんとお父さんの暮らす故郷へと帰ってきました。
ふたりはキキの帰りを喜び、いつまでもおしゃべりをしました。
長く休暇をとるつもりのキキでしたが、数日もすると、コリコの街のことばかり考えてしまいます。
そして5日もすると、キキは予定を早めてコリコの街へ戻ることにしたのです。
お母さんは娘との別れを惜しみながらも「1年後にまた戻っておいで」とキキに声をかけます。
キキは、お母さんが空を飛ぶ練習で高い木に付けてくれた鈴をトンボさんにプレゼントすることにしました。
コリコの街の人へのおみやげを持って、空高く飛びました。
夕日を浴びて影がのびたコリコの街の時計台がキキたちの帰りを歓迎しているようでした。
魔女の宅急便の原作:映画と原作小説の違う点
あらすじを読んでも原作と映画では中盤以降の展開が大きく違うことにお気づきかと思いますが、他にもいくつか設定などの違いがあります。
気になるポイントを解説します。
①キキは、ロングヘアーだった!?
原作の小説に登場する挿絵では、キキは黒いロングヘアで描かれています。
一方で、アニメ版のキキはショートヘアです。
これはアニメ化に際して作画を簡単にするための変更で、ロングでは作画が難しいとのことでショートヘアのキキが誕生したんですよ。
②映画でジジがしゃべらなくなった理由は、魔女の付き猫の”役割”が関係している!?
映画では、キキが黒猫・ジジの言葉が突然理解できなくなるという展開がありますよね。
そのタイミングで空を飛ぶ魔法も弱くなってしまいます。
映画の最後では、キキは見事に空を飛ぶ魔法は取り戻すものの、ジジとの会話はできないままです。
原作小説の序章で「魔女のおかあさんは、女の子が生まれると、同じ時期に生まれた黒猫を探して、一緒に育てます。その間に女の子と黒猫は2人だけのおしゃべりができるようになります」と説明しています。
魔女の女の子にとって黒猫は大切なパートナー関係なんですね。
そして「女の子が成長し、猫に代わる大切な人ができると黒猫も自分の相手を見つけ、別れて暮らすようになる」とも説明されています。
キキは、コリコの街でたくさんの人と出会い「トンボ」と心を通わせるようになっていきます。
それをいちばん近くで見ていたジジは、キキに自分の代わりとなる大切な存在ができたことに気付き、自分もキキの代わりとなる猫のパートナーを見つけたのでした。
トンボと出会ったことで、キキとジジはパートナー関係から卒業したために言葉が通じなくなったのかもしれませんね。
③キキとトンボの関係
映画本編では、キキとトンボの友情が強くなっていくのが分かる描写はありますが、恋愛に発展するかどうかの決定的な描写はされていません。
しかし原作小説では、キキがトンボに言われた何気ない一言にモヤモヤしたり、女の子として見られたいと思う描写があります。
また、キキが里帰りをすると知ったトンボは、かわいい贈り物と見送りをするなど、ふたりが友情を超えた関係を育む描写が描かれていました。
ちなみに続編シリーズではキキとトンボは結婚することになるんですよ。
④原作ではキキの仕事シーンがたくさんある
映画本編では時間の都合なのか、キキが宅急便の仕事をする場面はあまり多く描かれていません。
一方で原作小説では、とにかくたくさんのお届けの仕事をしています。
その都度、キキには素敵な出会いがあり、街の人と打ち解けあっていく過程が丁寧に描かれています。
まとめ
この記事では、小説「魔女の宅急便」の概要、あらすじ、映画との相違点をご紹介しました。
キキが落ち込んだり励まされてたりしながら成長していく不朽の名作「魔女の宅急便」は、映画とは一味違った良さがあります。
ぜひ、映画と一緒に注目して見てください!
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