元WDWキャストが語る!本当にあった心温まるいいエピソード集
世界で最大規模のディズニーリゾート、ウォルト・ディズニー・ワールド(WDW)。世界一幸せなこの場所で、キャストとして働いた経験のある筆者が、本当にあった魔法の瞬間をご紹介。心温まるエピソードや裏話も♪
みなさんこんにちは!
ウォルト・ディズニー・ワールド(WDW)で半年間、キャストとして働いていた女子大生ライターのてんてんです♪
ディズニーってどうして、何度も何度も行きたくなるんだと思いますか?
筆者なんて、パークを出た瞬間からもう次に行くことを楽しみにしています!(笑)
筆者は、ディズニーだけが持つ「魔法の力」がそうさせてるんじゃないかと思います!
今回は、「世界一幸せな場所」として知られるWDWで日々どんな魔法が起きているのか、そして筆者が実際に体験した心温まるエピソードをご紹介します。
- ディズニーキャストのたまごが集う「ディズニーユニバーシティ」
- ゲストの幸せのための投資は惜しまない
- ディズニーの魔法のチケット
・本当にあったディズニーのいい話①:チームワークで魔法はかけられる
・本当にあったディズニーのいい話②:悲しい思い出を塗りかえたい
・本当にあったディズニーのいい話③:キャストも大切にするのがディズニー流
ディズニーの魔法:マジカルモーメントをおこしなさい
みなさん、「マジカルモーメント」という言葉を知っていますか?
直訳すると「魔法のような瞬間」。
ディズニーに行くと、ゲートをくぐった瞬間に心がぱっと明るくなったり、キャラクターに会ってワクワクしたり、幸せで心がキュンとした経験はありませんか?
「マジカルモーメント」は、ディズニーがもつゲストを幸せにするためのノウハウ。
そんな、ディズニーの魔法の力を使って、キャストたちはゲストのみなさんを幸せにしています。
ディズニーキャストのたまごが集う「ディズニーユニバーシティ」
筆者がウォルト・ディズニー・ワールドで働くにあたり、最初に研修を受けたのが「ディズニーユニバーシティ(ディズニー大学)」というところ。
様々な夢や理想を持った人々が世界中から集まります。
彼らは全員、ミッキーのもとで働く魔法使いの弟子といえるでしょう!
そこで最初に教えられ、キャスト全員の共通認識にしている言葉が
「We create happiness(私たちは、幸せを作り出す)」
で、いわばディズニーの企業理念のようなもの。
私たちはこれから、ゲストを幸せにするために働くんだ!
全員の目標を明確にし、次に必要なのが「マジカルモーメント」。
期待以上のことをされたときに感じる驚きと感動、喜びの瞬間こそがディズニーが目指す魔法「マジカルモーメント」です!
ゲストの幸せのための投資は惜しまない
みなさんは、「ディズニーキャストにマニュアルがない」というのを聞いたことがあるかもしれません。
これは本当のこと。
キャストひとりひとりに自分の頭で考えさせ、ゲストを幸せにすることに制限を設けないのがディズニーの流儀!
ゲストを幸せにするチャンスを見つけたら、そこにあるものを使って「マジカルモーメント」を起こして良いことになっています。
ゲストのお誕生日や結婚記念日などを知ったら?
お祝いしなくちゃ!!
そんなお祝い事のためだけの、非売品のケーキを用意しているレストランも少なくありません。
チョコペンで名前を書いたり、何人かのキャストを集めてハッピーバースデーを歌ったり、ろうそくをつけたり、それぞれのキャストが工夫して「マジカルモーメント」を起こします。
また、アイスクリームやポップコーンを落としてしまったら新しいのをもらえる、というのも有名ですよね。
せっかくおいしいアイスクリームを食べて幸せになるはずだったゲストが、それを落としてしまったことで悲しい気持ちになってしまったら…放っておくことはできません!!
ではもし、売り場から離れたところでアイスクリームを落としてしまったゲストを、カストーディアルやアトラクションキャストが見つけたら?
それでもディズニーキャストはチームでリカバリーを図り、「マジカルモーメント」を起こそうとします。
そんな時に使うのが魔法のチケット!
ディズニーの魔法のチケット
ウォルトディズニーワールドには、「マジカルモーメント」を起こすための魔法のチケットがあります。
魔法のチケットは、キャストだけが持つ非常に珍しいアイテムです!
その使い方はというと?
例えば、アイスクリームを落としたゲストに、
「この魔法のチケットを持っていけば、また新しいのをもらえるからね」
と引換券のように使ったり、また、ファストパスの代わりにすることも可能だとか。
さらに、キャストがそれを使ってショップで買い物をし、その品物をゲストにプレゼントすることもできます。
例えば、レストランで洋服を汚してしまったお子様に新しいTシャツを買ってきたり、特別な日を祝っている家族にプレゼントを買うことも可能。
いうなればディズニー専用の小切手のようなものですね!
筆者の友人で、アトラクションキャストをしていたKちゃんは、上司に魔法のチケットをもたされ、
「さあ、マジカルモーメント作ってこい!」
とパークをうろうろすることがあったそうです。
ランダムにターゲットのゲストを決めて声をかけ、
「どこから来たのか?」
「誰と来たのか?」
「何が楽しみか?」
「今日の出来事は?」
などしばらくお話をして、そのゲストがもっと楽しい時間を過ごせるようにチケットを使うそうです!
突然話しかけてきたキャストにこんな素敵なことをされたら感動しますよね!!
ディズニーはここまで徹底してゲストを幸せにしようとしています♪
本当にあったディズニーのいい話①:チームワークで魔法はかけられる
筆者がお土産屋さんで働いていた時、私を魔法使いにしてくれた小さなゲストがいました。
ある時、内線で近くの店舗から電話が…
「今、おもちゃのボートをお探しのご家族をそっちへ向かわせたから、ご案内をお願いね。5歳の男の子とご両親、おじいさまとおばあさまもご一緒で、おそろいのグレーのTシャツが目印よ!」
私たちはゲストが探しているものがなく、他の店舗に行っていただくときは必ず引継ぎをします。
ゲストに、
「〇〇を探しているんですけど…」
と同じやり取りをさせるのではなく、
「お待ちしておりました。〇〇をお探しの××様ですね!」
と、こちらから声をかけたほうが素敵ですからね♪
電話を受けた筆者はミッキーの手袋をはめ、ボートを手にして店の入口に立ちました。
「こんにちは!ボートはいかがですか~?本日のおすすめでーす!」
そう人の流れに向かって声を上げていると、遠くからそのご家族が近づいてくるのが見えました。
おもしろいことが起こりそうだと動画を回し始めるお父さん。
「あれ?僕が探してたボート…?と」
不思議そうに、お母さんの顔を見上げる男の子。
「こんにちは、ようこそ!今日はボートがオススメなんですが、おひとついかがですか!」
『…うん、ほしい。』
「やっぱりね!はいどうぞ!」
『ありがと。あの…お姉さんどうして僕がボートほしいってわかったの?』
「そうだなぁ、ここはディズニーワールドでしょう?なんでだと思う?」
男の子はすこし考えてから、ひらめいたように言いました。
『もしかして…魔法?!』
「シーッ!このことは秘密なの!お姉さんが魔法使えるってこと、誰にも言わないって約束できる?」
『できる!!』
男の子は目をキラキラさせて店に入っていきました。
お父さんに「ありがとう」とウインクをされたのを、今でも覚えています。
そのあとお母さんに『誰にも言ったらだめだよ!あのお姉さん魔法使いなんだって!』なんて言っていたのは、聞かなかったことにするね。
本当にあったディズニーのいい話②:悲しい思い出を塗りかえたい
アメリカでは、購入したピンをキャストと交換する「ピントレーディング」が流行っています。
みなさんシリーズをコンプリートしたり、ただ気に入ったかわいいものを集めたり、中には100個以上のピンを持つコレクターも!!
ピントレーディングについて詳しく知りたい人はこちらもチェック
・ディズニーの「ピントレーディング」とは?交換手順や体験談をご紹介☆
キャストは初めに12個のピンを支給され、ゲストに求められた際は交換に応じます!
ある時、小さな声で
『ピン見せてもらっていいですか…』
と声をかけてきたのは、10歳ほどの女の子でした。
かがんで見せた筆者のピンをじっと見つめ、しばらく考えてからお母さんにぽつぽつと相談し始めました。
どうやら気に入ったピンを見つけたようでしたが、自分の持っているピンも大事なものばかりで手放したくないといった様子。
なんだかディズニーワールドにいる子供とは思えないほど元気がなかったのが印象的でした。
戻ってきた女の子は1つのピンをまたしばらく見つめてから、
『やっぱりいいです…』
といって離れていきました。
しばらくお母さんと買い物をしていたので、店を出るときにもう一度声をかけてみることにしました。
「さっき気に入ってたのはこのピンだったよね?」
『…コクリ』
「あなたが持ってるピンも、全部素敵だね!」
『集めてたから…』
するとお母さんが、
「ごめんなさいね、この子さっきモノレールでピンをなくしてからずっとこの調子で…」
とカナシミになっていた理由を教えてくれました。
「そうだったんだ、それは悲しかったね。せっかく集めてたのにね。それじゃあお姉さん、どうすると思う?気に入ってたこのピン、あなたにあげちゃう!」
『いいの?』
「もちろん!そしたらさ、また楽しく過ごせると思う?」
『うん』
女の子の顔には少し笑顔が戻り、黙って筆者にハグをしてくれました。
しばらくあたたかいハグをしたあと、女の子はニコニコ手を振りながら去っていきました。
お母さんが小さな声で、
「お金は…」
なんて聞いてきましたが、
“Never mind. It's on Mickey! (気にしないでください、ミッキーが支払いますから!)”
という決まり文句でお別れしました。
ディズニーでの思い出が悲しいものになるなんて、キャスト全員で阻止しなければなりません。
本当にあったディズニーのいい話③:キャストも大切にするのがディズニー流
筆者がウォルト・ディズニー・ワールドで働いていたとき、ディズニーがキャスト向けに実施しているサービスがたくさんありました。
日本でも、キャストがパークで遊べる「サンクスデー」があるのは有名ですよね!
・キャストの特権!「サンクスデー」とは?ディズニーのホスピタリティに驚愕!
例えば、筆者が住んでいたインターンシップ生のための寮では、月に1回ほどパーティーが開かれ、キャラクターが来たり、DJがいたり、食べ物も無料で配布されているんです♪
ディズニーのプールパークを夜に貸し切りにした、ナイトプールパーティーなんかもありました!
また、パークがオープンする前にアトラクションについて学べる「バックステージツアー」に招待されることもあります。
筆者の職場のインターン生が、ホーンテッドマンションのツアーに招待された際、ディズニーのおもてなしが発揮されたことがありました。
その日、私たちは朝5時に家を出発し、ワクワクしながらパークへ向かいました。
到着し、ツアーが始まるのを待っていると、なんとガイドが急に来られなくなってしまい、中止が言い渡されました。
がっかりする私たちのためにホーンテッドマンションの責任者の方は、本当は立ち入れない開園前のシンデレラ城の前で写真を撮れるよう調整します。
特別感あふれる景色をバックに写真撮影をしていると、シンデレラ城でオペレーターをしていたキャストが近づいてきました。
事情を話すと、なんと大人気アトラクションのファストパスを全員分用意してくれました!
次に声をかけてきたキャストは、他の責任者に電話をし、朝一番のトロリーバスを貸し切りにしてくれました。
さらに、バスの到着点であるシアター(ミッキーに会える場所)で、最初にミッキーに会わせてくれるというのです!
私たちは開園と同時に始まるオープニングショーを見て、トロリーバスに乗り、ミッキーと記念写真を撮ってから、アトラクションを楽しみました。
付き添いのマネージャーが職場に連絡し、朝シフトだった何人かのインターンシップ生も、この機会を楽しめるよう始業時間を遅らせました。
通常なら、キャンセルになったとはいえ相手は事情を理解できるキャストたち。
また今度ということで仕事に戻らせても誰も文句は言わないはずです。
それでも、ディズニーにゲストとしてきたからには楽しまなければならないと、たくさんの人が力を合わせ「マジカルモーメント」を作ってくれたのです!
いつもディズニーのために働いてくれてありがとう。
そんな風にキャストを大切にするのが、ディズニー成功の秘訣かもしれないと思いました。
まとめ
今回は、筆者がウォルトディズニーワールドで働いた半年間に出会った「マジカルモーメント」の一部をご紹介しました。
日々、キャスト全員がゲストの幸せを目指して「マジカルモーメント」を生み出しているので、それがディズニーを『世界一幸せな場所』たらしめているのかもしれませんね。
また、ゲストの幸せそうな顔を見ることで、キャストの私も幸せを感じていました。
幸せを作り、魔法をかける仕事は、とてもやりがいのあるものでした。
何度も何度もディズニーに行きたくなる理由、それはキャストが作り上げる手作りの魔法かもしれません♪
キャステルの記事に テーマパークの最新情報をお届けします |